Ⅲー① 好み・自分でやりたい・一番になりたいなど性格に起因するもの
誰にでもあるこだわりですが、それが強すぎて、共同生活に支障が出てくと何らかの修正も必要になることがあります。服のこだわりで色とかならまだ良いですが、冬でも半そで、半ズボン、裸足がいいと言われても親は困るでしょう。ましては、家の中ではいつも裸で過ごしているとなると、好みの次元から超えてしまっています。「自分でやりたい」というのは2歳頃の多くの子に現れる自己主張ですが、大きくなって、母親が急いでいる時も絶対自分でやらないと気が済まないのも困ってしまいます。また、
「一番になりたい」というのが強すぎて、負けると大騒ぎになってしまうのが、大きくなっても続いているのも困りものです。自己コントロールする能力が発達し、状況に応じて、「まーそのときはいいか」と思えることや、「負けても次頑張ればいいや」と思えるようになることが重要です。
想像力が乏しく、行動がパターン化している場合です。ある活動を始める時、いつもやっている道具の一つがなくて違うもので代用した時、「それじゃだめ!」といつも使っている道具を探せと要求されたりする。また、「あいうえお」の歌で、いつも「ターンタタンタタンタ」を入れて「あーは・・・・」と歌っていて、最後の「わ」だけの時は節回しがよくないので、すぐ「わ」は「わなげ」と歌おうとすると、「ターンタタンタタンタ」を催促するなどです。活動の内容が少し変わってレベルアップし、次の行動パターンを獲得して、認識の幅が広がっていく必要があります。
自閉症の人のこだわりは実に多岐にわたっています。触覚・味覚・視覚・聴覚などの感覚刺激の中で、特定の刺激を極端に嫌がるとか、逆に見入られてしまっているようにも思えます。認知の仕方に独特の特徴があって、通常は嫌悪刺激が外から与えられると排除するか、まわりの人に排除してもらおうとします。しかし、自閉症の人は自己と刺激の間に距離感がなく、嫌悪刺激が直撃していて、どうにもならない状態に陥っているように思えます。また、好ましい刺激には魂がその刺激に吸い込まれてしまって、飽きることがありません。そのため、自己と刺激の間に距離感を持って活動する体験、目的の為に外界の刺激を認知し、利用して行動していく必要があります。そして視覚情報がわかりやすい傾向がありますので、絵や文字にして活動する順番を提示するなど、視覚情報を利用して活動することがひとつの方法として有ります。また、複数の情報の中から必要な情報のみを選択したり、同時に処理することが苦手なので、一つの刺激だけを提示したり、一方向に向かって活動するように課題を設定することで、わかりやすくなることがあります。
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