幼児期から学童期低学年において、少人数グループ指導が大変有効な子ども達がいます。
今まで過ごしてきた生活環境やそれぞれのお子さんの発達の状況・能力、性格や行動の特徴などによって、集団への適応の仕方は実に様々です。
昔のように、ほとんどの人が大家族で、地域みんなで子育てしてきた時代とは違って、両親と一人っ子の3人家族もいれば、祖父母も一緒に生活している場合や兄弟の多い家族もいて、幼稚園や保育園に入る以前に、集団の経験の仕方が全く違っています。また、住んでいる近所に子どもたちがたくさんいて、いつも仲間として遊べる環境が少なくなってきている昨今の地域環境も大変影響しています。
そして、本人の発達の状況・能力、性格や行動の特徴が集団への適応を難しくしている場合もあります。(言語発達が少し遅れている・気難しい・神経質である・人見知りが強い・臆病で不安が強い・運動が苦手・多動で、落ち着きがない・乱暴である、協調性が弱い、人への関心が弱い・こだわりが強い・初めての活動が苦手であるなど)
ですから、最初から集団生活をエンジョイできる子ばかりとは限らないわけです。
しかし、条件をうまく整えて、グループの誰もがよくできて、興味が持てて、楽しめる活動を一斉にやっていけば、意外と、ほとんどの子が集団での活動が大好きになります。
どうも、人間は、子ども同士との一体感がやみつきになるようにできているように思われます。
しかし、それは、みんなが心から、楽しめる活動でないと一体感は生まれません。
また、グループの誰もがよくできてという条件が付きますので、グループ内の子ども達が同じぐらいの能力(先を読む力や想像力・言語能力・運動能力など)である必要が出てきます。これらをクリヤすれば、ほとんどの子どもが同じ活動をして、楽しめるようになります。元々人間の脳は他の子がやっている活動を見ただけで、その活動をするときに働く神経細胞が活性化されるというミラーニューロンが存在しています。つまり、他の子がやっていることで面白そうだと、自分もやってみたくなるように人間の脳はできているからです。問題はいかにその気にさせて、ミラーニューロンを働かせるかにかかっています。
そして、指導者と保護者が一体となって活動を盛り上げ、見守っている環境の中で、子ども達は自分ができている姿を大人達に見せたくてより張り切るようになります。また、多くの子ども達が、苦手な課題や恐い思いをした時や、思い通りにならない時など逃げ込む場所があったり、母親に抱かれて気持ちを取り戻す時間が必要となります。少人数のグループ指導で保護者が見守っている中で活動するメリットはこれが一番大きいと思います。子ども同士の集団活動でありながら、母親の安全基地にいつでも戻れる環境があるということです。切り替えがなかなかできにくい子ども達も、しばらく母親に抱かれて気持が落ち着いてくると、他の子がやっていることを自分もまたやってみたくなることが多いからです。それを繰り返すことで徐々に切り替えがよくなってきます。